VOL14  ヤバいときこそチャンスあり


自分が何をやっても上手くいかないような時期こそ、実は自分自身を磨くのに適しているチャンスです。

孟意堂がこれまでに出会ってきたすごい人たちは、そういう局面にこそ力をつけています。
まるで草木が土からの栄養分を吸収するかのように、です。
そうして、すごい人たちは挫折や失敗からものの見事に這い上がってきているのです。

こういう人たちは、現実の悲しい自分から目をそらしません。
厳しい現実に直面し、ギリギリの精神状態の中、どうすれば現状を打開できるか、必死です。

人生のどうしようもない時こそがチャンスだと思って生きて来たであろう、優れた人物がいます。

松下幸之助さん。
「経営の神様」とまで呼ばれた日本を代表する実業家です。

彼がその昔、日本経済新聞の「私の履歴書」の中で関東大震災に遭ってしまった東京のことを書いていらっしゃいました。

関東大震災は1923年9月1日に起きた地震と火災による大震災で、死者は10万人以上、全焼した家屋は30万戸近くと言われています。

その中で、神田区や墨田区の一部は奇跡的に延焼を逃れ、生き残った町と言われています。

では、全焼してしまった町がとても不幸で延焼を逃れた町がラッキーな町かと言えば、必ずしもそうとは限らない、と松下幸之助さんは語ります。
全焼してしまった町は、その後めまぐるしい復興を遂げ、かつての町以上の発展を遂げてきたのだ、と。

起きてしまったことはどうしようもない事実です。
人生をどん底に突き落とすような出来事はできれば避けたいものです。
しかし、目の前で起きてしまったことを真摯に受け止め、強い気持ちを持ってその後どう生きていくかを真剣に考えた松下幸之助さんらしいものの見方だと思います。

彼の命式を見てみましょう。

松下幸之助
乾造 1894年11月27日生まれ 出生時間不明

    傷官      偏財    七殺
年 甲(陽木) 午 丁(陰火) 己(陰土)
    食神      劫財    傷官
月 乙(陰木) 亥 壬(陽水) 甲(陽木)
            偏印
日 癸(陰水) 酉 辛(陰金)

時 不明

前述の小室さんと同じように立冬に入った亥月に生まれた方で、木火エネルギーを喜びとする方です。
しかし、生まれた日は癸酉という偏印の上に自分がいることをはじめ大きな違いがいくつもあります。

この方の大運もアップダウンの激しい運を歩んでいます。
85歳 75歳 65歳 55歳 45歳 35歳 25歳 15歳  5歳
 甲  癸  壬   辛   庚  己  戊  丁  丙
 申  未  午   巳   辰  卯  寅  丑  子


彼の場合、アップダウンが激しいだけではなく「人生のどうしようもない時期」をなんども体験しているように見えます。
しかし、彼の理念や生き方が、「人生のどうしようもない時期」に何をすべきかを悟らせ、人生の後半に来る巳(み)、午(うま)、未(ひつじ)の火エネルギーの大運に若い時以上の収穫をもたらせたのだと思います。

この方の優れているところは、この「人生のどうしようもない時期」にものの見方を後天的に変え、ご自身を鍛えてきたことだと思います。
すごい人たちがすごいのは、「調子の良い時期にどうするか」よりもむしろ「人生のどうしようもない時期にどうするか」に長けている点です。

さて、日本の農家さんは、田んぼの収穫が終わった後こそ土作りの為にやることがいっぱいなのだと聞きます。
苗の成長を見ることもなく、稲の収穫を得られる訳でもありませんが、土を豊かにする作業を怠ってしまうと、良い土壌ができないことをよく知っているのです。

冬の間に草焼きをするそうです。
草焼きをすると酸性に傾いていた土壌をアルカリ性にし、有機肥料を入れたのと同じような効果が得られるそうです。
雑草の種を燃やすので雑草が生えにくくなり、高温のため病原菌も死滅します。

刈り取った後の田んぼを耕す荒起しをするそうです。
荒起し、つまり荒く耕すことで土は冬の霜や寒気にさらされます。
そうすることで、刈り取った後の稲株や藁の有機物を分解し、空気を土中に取り込み、その空気が有機物を分解する微生物や翌年作付けする稲の根っこの為になるのだそうです。

だから、農家さんはこの作業を怠れないのだそうです。