南宋の時代に活躍した江西省出身の天才風水師・頼布衣(らい・ぽーい)は、龍穴を見つけに広東省に行った際に一度だけ香港を訪れたと言われています。
九龍のとある山の麓からこの地を見下ろし、
「香港是福地(香港は恵まれた土地である)。」と言ったそうです。
この土地の素晴らしい山々と豊かな水を目の当たりにしたからです。
香港島にある太平山は優れた山です。
大帽山からのエネルギーをしっかり受け、その生命力は若く、そのため緑も生き生きとしています。
五行で言うといわゆる「土」「金」エネルギーの山で、その形は中国の昔の貨幣である「元寶」のように台形の両端がくるっと上にカーブしています。
風水では「山は人を制する」と言います。
つまり、そのエリアにどのような山があるかでそこに住む人々の性質や健康、ひいては生活水準まで影響されるのです。
太平山は優れた山です。
そのエリアに住む人々に知恵と健康と、そして豊かな金運を与えてくれます。
香港大学をはじめ、香港の多くの有名校がこのエリアに立地しています。
太平山の麓、半山(ミッドレベル)は富裕層が多く住む住宅地です。
セントラルからアドミラルティにかけては多くの金融機関が活躍しています。
香港を植民地として統治したイギリスがすごいのは、太平山から来る優れたエネルギースポットを2つ見出し、それを活用して来たことです。
一つは政治のエネルギースポット。
そしてもう一つは経済のエネルギースポットです。
政治のスポットには総督府(ガバナーハウス)を設けました。
経済のスポットにはHSBC(香港上海銀行)本店を設けました。
この両方がのちにバンク・オブ・チャイナタワーと風水戦争を引き起こすことになるのですが、最も優れたこの2つのエネルギースポットが負けるはずがありません。
現在も総督府跡地は礼品府として香港特別行政区行政長官が受け継ぎ、HSBCは現在も香港だけではなくグローバルでトップレベルの銀行として活躍しています。
それぞれの風水上の素晴らしさについてはまた別途機会を設けて説明したいと思います。
次に香港の水について見てみましょう。
香港の地形はそもそも北を上に南を下にしてみると九龍サイドと香港島の間を流れるビクトリアハーバーは左から右、つまり西から東へと流れています。
埋め立てが進み、地形が少しづつ変わってはいますが、それでもこのハーバーはまっすぐスピーディに流れているのではなく、うねうねと曲がりながらゆったりと流れています。
ちなみに風水ではまっすぐ水が流れることを「無情」と呼び、曲がりながらゆったりと流れることを「有情」と呼んでいます。
先ほど「山は人を制す」と言いましたが、水はといえば財を制します。
つまり、どのような水がどこからどのように流れているかがそこに住んでいる人々の富や財産に影響して来るのです。
有情であれば財産は止まりやすく、無情であれば去るのは早いはずです。
香港のビクトリアハーバーが優れているのは有情であること、です。
そして、もう一つ優れているのは、西の入り口がとても広く、東の出口がとても狭い点です。
ですから、この世の海に水がある限り、ゆったりとした水が九龍と香港島の間を時間をかけて流れていくのです。
植民地時代のイギリス政府が素晴らしいのは、この土地の素晴らしさに気づきそれを活用したことです。
中国が素晴らしいところは、この土地を無駄にせず活用した点です。
そして、もっと素晴らしいのはその中で最大限の力を発揮し、この土地を見捨てずに愛し、さらにバージョンアップしていった人々です。
「もうダメだ」
と逃げていった人たちを横目で見ながら、その後の世界同時不況やリーマンショック、SARSなどの試練を乗り越え、逃げないで目の前のことを粛々とやって来た人たち。
この土地の風水は、それを後押ししているかのようです。
彼らの生活が豊かになっていくのを見ていると
「努力は必ずどこかで報われるのだ」
と励まされます。
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