四柱推命では、木、火、土、金、水の五行の中で何か一つのエネルギーに偏ることを「病(やまい)」と呼びます。
何かに偏ると言うことは、その特色が良くも悪くも出やすい、と言うことです。
たとえば、土エネルギーが強いとその方は信用を重んじ、周囲からも信用されやすい人物となります。
その反面、自分の考えに自信があるので他人からの意見に耳を傾けようとしません。
だから、頑固で自分の考えに固執しやすい、と見られてしまいます。
これがきっと「病」の正体なのでしょう。
宋の時代の四柱推命の本「淵海子平」の中に「五言独歩」があります。
この中の冒頭には「有病方為貴(病があってはじめて貴くなる)」とあり、「バランスが重要」と言うこれまでの四柱推命の考え方を根底から覆す言葉が書かれています。
傷がない命式は素晴らしい命式ではない、欠点のない命式は実に平凡であると。
確かにそうかもしれません。
何かのエネルギーが強いからその特徴が強烈に現れ、その並ならぬ力は非凡な力となり、
それは個性と呼ばれ世の中で注目され、人々に感動を与え、彼らの心に刻まれていくのでしょう。
「五言独歩」はこう続きます。
「病がある人は歩んでいく運でそれが取り除かれたときに発福する」と。
それを生かす方法さえ理解していれば、病は大きな武器になるのです。
ちなみに「五言独歩」の全文を見てみましょう。
漢字ばかりですが・・・。
有病方為貴,無傷不是奇,格中如去病,財祿喜相隨。寅卯多金丑,
貧富高低走,南地怕逢申,北方休見酉。建祿生提月,財官喜透天,
不宜身再旺,唯喜茂財源。土厚多逢火,歸金旺遇秋,冬天水木泛,
名利總虛浮。甲乙生居卯,金多反吉祥,不宜重見殺,火地得衣糧。
火忌西方酉,金沈怕水鄉,木神休見午,水到卯宮傷。土宿休行亥,
臨官在巳宮,南方根有旺,西北莫相逢。陰日朝陽格,無根月建辰,
西方還有貴,干怕火來侵。乙木生居酉,莫逢全巳丑,富貴坎離宮,
貧窮坤艮守,有殺只論殺,無殺方論用,只要去殺星,不怕提綱重。
甲乙若逢申,殺印暗相生,木旺金逢旺,冠袍必挂身。丙火怕重逢,
北方返有功,雖然宜見水,猶恐對提沖。八月官星旺,甲逢秋氣深,
財官兼有助,名利自然亨。曲直生春月,庚辛干上逢,南離推富貴,
坎地卻猶凶。甲乙生三月,庚辛戌未存,丑宮壬癸位,何處見無根。
木茂宜金火,身衰鬼作關,時分西與北,輕重辨東南。時上胞胎格,
月逢印綬通,殺官行運助,職位至三公。二子不沖午,二寅不沖申,
二午不衝子,二申不沖寅。得一分三格,財官印綬全,運中逢剋破,
一命喪黃泉。進氣死不死,退氣生不生,終年無發旺,猶忌少年刑。
時上偏財格,干頭忌比肩,月生身主旺,貴氣福重添。時上一位貴,
藏在支中是,日主要剛強,名利方有氣。運行十載數,上下五年分,
先看流年歲,深知往來旬。
さて、前述の土エネルギーが強い人は、土エネルギーを耕す木エネルギーをうまく使えば、それが生かす方法になります。
あるいは土エネルギーの力を漏らしてくれる金エネルギー、あるいは金水エネルギーを使う、と言う方法もあるでしょう。
あるいはそれらとは違う別の方法があるのかもしれません。
木エネルギーを使うのか、金エネルギーを使うのか、金水エネルギーを使うのか、
これは全く違う手法になります。
そして、どの方法を使うかは、豊富な経験と分析力が必要です。
この選択肢は、実際の病気にとても似ています。
薬を投与して時間をかけて治療していくのか、手術をして局部を切除するのか、
放射線治療するのか、漢方薬にするのか・・・。
自分の体質に合った治療方法であれば、一時的には辛いかもしれませんが、その後の回復も良く、病気をした時より生き生きと生活できることでしょう。
その反面、選択肢を誤ってしまうと、時間もかけお金もかけ、周囲にも迷惑をかけたのに良くない結果が起きてしまいます。
その病をどう取り除くかで、その後の人生が大きく変わってしまうのです。
「病がある人は歩んでいく運でそれが取り除かれたときに発福する」
これは実に奥深い言葉です。
波風の立ちにくい穏やかな人生を良しとする考え方ももちろんありますが、まず「病があること」が人生を大きく膨らます大前提になります。
病があることはハンディを抱えることではなく、チャンスをものにするための大前提なのです。
そして、それを取り除く方法とタイミングさえ間違えなければ、面白い人生を歩むことができるのです。
しくじり先生たちのように、ある時点でミスを犯してしまっても、大きな失敗をしたとしても、です。
孟意堂は、著書「金運を引き寄せる孟意堂風水」(廣済堂出版)にサインを求められた時、
「今日の自分に明日は勝つ」
と書くようにしています。
いろんな意味を込めて書いている言葉ですが、病を引き受けそれを逆にチャンスとして生かす、と言う意味もあるのだろう、と最近思えるようになってきました。
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